リニア工事談合で鹿島と大成建設の幹部逮捕って?

またまた既視感のあるゼネコンの談合問題。国家的なプロジェクトでありながら、旧国鉄グループの中から東海道新幹線を受け持つJR東海が進める事業となり、10兆円とも言われる費用を負担してプロジェクトを推進。

とはいえ国が関与しないはずのない計画。東海道新幹線の開業が1964年でもう50年以上経過、普遍的な技術で大トラブルなしに安全に運行してきた。また、たまたまだが、この間、東西の2度の大地震東海道新幹線のエリアを外して発生した。

そもそも東海道新幹線は戦時下の弾丸列車計画で、1940年ごろから広軌幹線計画が登場。その前の東海道本線が全線開通したのが1889年だから50年も経てば、次の構想が出てくるサイクルなのかも。

 

談合のハナシに戻ると、なぜあっさりと大林組清水建設が手を上げたのに、鹿島と大成建設が抵抗したのか、最初からよくわからない。スーパーゼネコンの土木の大幹部なんてこの業界の保守本流ではないか。認識の違いなんてあり得ないように思える。

無責任な外野の感想でしかないが、JR東海の発注の仕方に問題があるという指摘がいちばん納得がいく。民間企業の「官製談合」ではないのか。随意契約で割り振るならそれでもいいではないか。上場会社としてのコスト最適のためのアカウンタビリティのなせる弊害なのか。品川駅と名古屋駅の地下深くを掘り、南アルプスを貫通する工事がコストダウンの競争をしないといけないのか。

 

経済犯罪だから、経済学の助けも借りて構成要件を詰めねばならない。競争的なマーケットが存在する前提で(その状態が出現することを妨げない前提で)競争制限的な行動が取り締まられるのが独禁法の政策だと思っていた。だから10兆円かけて、難工事を期限までに、最高水準の品質で仕上げられるようなプレーヤーが、たくさんいるという前提で4社が他のプレーヤーを排除したというのだろう。

 

スーパーゼネコンが一つの工事で随分なおカネを取って行くのも、まあ知っている。善良なプレーヤーではないと思うが、それはいずこも同じで、マーケットで一定のポジションを占めれば利益はついてくる部分もある。

 

東京地検特捜部のプロフェッショナルがやることに間違いはあるまい。しかしサラリーマンのベリートップでない人を拘束するやり方は、あまり気持ちが良くない。この場合、多くの人は組織の盾となっている状態で、善悪は別として、仕事として組織の期待に応えて対応している。見せしめで人権を奪うことは納得できない。その人の人生が変わることがある。それ以外の見えないところで、犠牲者が増えることもある。

 

大ゼネコンは逃げないだろう。正々堂々と議論したらいい。JRもちゃんと出てきてなにが望ましいか正直に言えばいい。鉄道・運輸機構の北陸新幹線除雪設備でも、規模的には小さいだろうが設備業者で同じことがあった。ことの是非はともかく、実現した事実として北陸新幹線はこの冬の大雪でもノートラブルで動いたではないか。

リニアの技術、大深度地下や険峻な山岳でも路線を築く技術は素晴らしいが、それを公正に造るための仕組みが機能しないなら不幸なこと。司法の独立もいいが、いまどきの法的バランスはいまの経済構造を反映したものにならないと、ズレをズレと分かっていてそれでも誰かがやり玉に上がる。いけにえか、魔女狩りか、とにかく何かを山の神に捧げないとダメなのか?