果たしてイールドカーブは立ち上がるのか

米国の長期金利が2.5%を超えて、世界的な金利上昇が話題となっている。

長期金利とは期間10年の国債利回りにほかならず、要は債券の価格である。利回り上昇は価格の低下と同じことであって、債券が売られているということ。一般個人にとってやっと金利が立ち上がり始めたと喜ぶのはまだ早い。債券マーケットがクラッシュしたら、多くの金融機関が苦境に陥り、個人の持つ債券ファンドも暴落する。

 

しかし、そういうレベルの債券価格の低下なら、まずいまは心配ないと思っていい。利回りが上がれば買い手は出てくるだろうし、先進国のクレジットリスクも問題ない。米国でもビューンと長期金利が立ち上がるとは考えられず、ドル高小休止、むしろ日銀の国債買い入れ額減に反応して円高方向に動いている。

 

だからなにごとも起こらないだろう、イールドも寝たまま、というのが結論ならそれはそれで我々にとっても悪いハナシではない。株式市場が堅調なら、債券を高値に張り付けたまま株の高値を享受できる。もう金利なんぞ上がらない方がいい、と。

 

ゼロ金利、マイナス金利から脱却しようなどと考えない方がいい、という理論をだれか立ててくれないものか。長短金利が1%を切った頃、いつだっただろう?、もう年利5%なんて世の中にはならない、と言い切って客先からドン引きされたことがある。それくらいのことは分かっていたから、円が80円のときにはドルを仕込み、それなりに利益が出せた。けどあのインフレ体質の米国までこんなことになるとは思わなかった。

 

何年か前のギリシャみたいなのはまた違った事情のハナシ。しかし、あちこちで信用力の低い国の国債に値が付かなかったこともまた事実。喉元過ぎれば、ということでもう忘れている。今年のテーマは、みんなが大丈夫というときこそリスクを探してみようということにしたので、せいぜい債券クラッシュ、大きな順イールド出現リスクを探してみよう。仮にそういう確信を持ったとして、いったいどういうポジションを取ったら儲かるか? それも意外と答えを出すには難しい問題。金利を気にしない時期が長すぎて、金利の動きにまだ目が慣れていない。金利感覚を取り戻さないと。