やっぱり来ました所得税改革

昨日、10月23日の税制調査会(政府税調)で財務省が配布した所得税の説明資料は60ページにも及ぶ。

そこでなにを伝えたいのか? ひとことで言えば、お父さんが一家の柱で、そのお父さんを定年まで安定的、ある意味で家族的に雇用してきた企業を、産業政策的に国家が支援し、緊急時にはメーンバンクが支えて、たとえM&Aがあっても雇用の維持が最優先されて、という社会を前提にした税制を見直したいということ。

 

時代遅れの税制はそのとおり。夫の稼ぎ一本で回っている家庭などないだろう。仮におカネは回るにしても、女性の能力を家庭に縛り付ける必要もない。ダブルインカムでしっかり働いてほしい。その方が個人も社会もプラスでウィンウィンだと思う。唯一の副作用が少子化ということか。

 

1年前は夫婦控除で盛り上がっていたが、配偶者控除の103万円のカベを微修正しただけに終わって、なにごとも起きなかった。財務省の狙いはそんなことではなかったのだろう。

しかし、給与所得控除と公的年金控除の「二重取り」が問題だというなら、60歳を境に基礎年金も払い込めず、いつ現役から退くか、フルタイムではない「ポートフォリオワーカー」になって社会に関わる時期をどう支援するか、完全年金生活を選ぶのはいつか、そういう制度設計の見直しもなしに、二重取りを問題視されても困る。

年金・退職金にトラップされたマネーを取り戻すのだから、分かりにくい税制を味方につけるためフルに読み込むのは当たり前。今だって、70歳に至るまで厚生年金は、厚年加入ステータスで在職する限り「何もしないで無職でいる」よりも、さまざまな不利益を受ける。給与と年金を併せて受け取ろうとすれば、いろんな妨げや不利益がビルトインされている。まるまる恵まれているわけではない。

 

税制をいまの世の中に合わせて変えていこうという考えには賛成。一方で個人的には何年か先の税制が分からないという状況は最低。いまの税制調査会に大きな制度改革を行う力もないだろうし、公明党さんが与党にいる限り自民党税調も好き勝手はできない。そもそも安倍さんは財務省の意図を受け入れないだろう。しかし58歳の私は、税制の変更にはつねに敏感になっていなければならないのだ。ここからは一つひとつの判断の積み重ねで大きな差が出てくるのだから。