一時所得の使いみちは意外なところに

たぶんどんな人でも確定申告であまり書かない種類の所得だが、タックスアンサーによれば「一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます」。

ちなみに「雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します」。

 

この2つはホントによく分からなかった。所得の種類は10種類あって、損益通算できるかどうかで経常所得グループと、譲渡・一時グループに分かれる、と説明される。これも分かったようで分からないが、雑所得は経常組で、一時所得は譲渡・一時組に入る。ただし一時所得も雑所得も事業性がなく、マイナスになることが考えられない。

 

しかしこの2つでは課税の仕組みは全然違う。一時所得は50万円の控除が認められ、さらにその1/2しか総合課税所得にカウントされない。雑所得はその全額が(必要経費は落とせるが)カウントされる。一時所得と区分されれば50万円はそのまま受け取れるのだから、これは使わせてもらおう。

私は58歳だが、いままで課税対象となる一時所得の申告をしたことがない。唯一まとまった金額が得られたのは生命保険の満期保険金を一時金で取ったとき、これはかんぽの学資保険が満期になったときだったが、とても50万円には届かない。競馬も長くやってきたが度胸がなくて1つの的中で50万円を超えたことがない。一時所得に分類されるもので50万円超とするのは容易ではない。

雑所得は20万円を超えたことがあった。これは神奈川県の公的な会合に定例メンバーとして参加して、いわゆる謝金を個人としてもらったため。ここから引けるのは交通費くらいで、まるまる給与所得にオンとなった。もちろん謝金は所得税源泉徴収されるので、申告すれば還付となることもある。

この2つ、全く所得の本質は違っていて、保険の一時金で得たものは金利のおかげで利子所得である。いっぽうで私が会合に参加して得た所得は、あえて言えば労働の対価である給与所得に近い。保険商品の差益の本質が金利なら、一定の一時払い養老保険のように金融類似商品課税でも良かったのだろう。この課税はもっと厳しくなった可能性もあっただろうが、世の中からまともな金利が消えてもう10年以上経つ。金利で一時所得を叩き出すことは困難になった。

 

その他に一時所得になるものは懸賞・馬券のような「当たりもの」と、なんらかの「もらいもの」である。ふるさと納税の返礼品は「もらいもの」をコンスタントにいただける可能性のあるもので、これは使わせてもらいたい。

もうひとつ、我々の年代に応じた一時所得の使いみちがある。それは年金受け取りの場面ででてくるものであり、企業年金(退職費用が源泉のもの)、確定拠出年金、そして年金保険(生保等が提供している私的年金)である。次回にお話ししたい。利子、キャピタルゲイン、そして労働対価をいかにうまく一時所得や退職所得に落とし込めるかが大事。