10年ぶりのアジア その5

その4でGRABについてご紹介したが、合計4回使って特に良かったのが中国系のドライバー。仕事は迅速でなんとか工夫をして、混んでいるKLの道路をうまく移動してくれる。特に最後に使ったドライバーは、中年のおっちゃんではあるが、よくしゃべってロードサイドの案内もしてくれたし、なんとか渋滞をバイパスして目的地に連れて行ってくれた。

このときのルートは王宮博物館からブキビンタンに戻るというもので、料金は8MYR。直線距離はたいしたことないが、方向的にあまり簡単ではない。彼は博物館の裏手の山の中の道を抜けるルートを選んだ。これが面白かったのだが、中国系マレー人のお墓の中の道。夜は通らないと言ってはいたが、きれいな夜景を楽しめるのではないか。

このルートが私の興味を惹いたのは、実は「その1」で少し触れた、私の祖父のいた場所に近いのである。祖父が残した簡単な地図がある。

 

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左下の「工場」というのが職場。そこから右に辿ると「宿舎」があるが、これがどの辺なのか分からない。工場も鉄道のすぐそばに書かれているが、当然そんなもの残っていない。「停車場」は旧クアラルンプール駅で、その上方に、「広場」「厚生会館」「政庁」とあるが、これは全部残っている。歴史的建造物群である。

祖父の遺した地図は、旧市街の南北のところが詳しく書かれていてブキビンタン、アンパンロードはサラッと触れている。ただかなりジャランジャランしたことは確かで、触れたくないところはカットしたのだろう。そのへんは想像でしか補えない。

 

KLは若い街だった。日本と違ってエスカレーターが速くて、高齢者は怖くて乗れないだろう。うちの連れ合いもアラ還だが、何度も電車で席を譲られていた。日本では若いもののうちに入る世代で、席を譲られることはない。本人は女性に優しいから、と言っていたが、はて。

話題的には、KLの北のはずれのバトゥ洞窟に足を延ばした。ところがここの名物階段がその後すぐに極彩色に塗られたらしい。恐るべき階段に見えるが、わりと上りやすい。国際的な観光地で、ここへ向かう列車は平日にもかかわらず観光客で満席以上の混雑だった。

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散漫な旅日記だが、安くて美味しくて楽しいKLツアーだった。次回はしっかりと足で回って、祖父の足跡に迫りたい。

 

10年ぶりのアジア その4

クアラルンプールでは、GRABというタクシーアプリがポピュラーと調べはついていた。日本でGRABアプリはインストールできる。ただし、カード払いの登録が日本国内ではできない。

KLIA(空港)から市内に向かう電車の中で、カードでの支払い登録はできた。これは当初VISAのデビットカードでやろうとしたが受け付けてくれず、クレジットカードを紐付けた。カード会社の認証画面が出てくるので、普段そういう使い方に慣れていないとまごつくだろう。そこは慣れていたので難なくクリア。

もちろんカード払いがイヤなら現金払いを選べばいいことで、そこはマストではない。ただ海外旅行では荷物が多く、また慣れていない通貨でチップも考慮しつつ現金を出すのは好きではない。お釣りをごまかす奴だっているかもしれない。カード払いにこだわったのはその辺りの事情からだが、クレジットカードの登録に抵抗がある方は現金払いでどうぞ。

 

で、クアラルンプール駅からタクシーに乗るため、GRABを開いた。初挑戦だが、とにかく自分がいるところに地図上のピンを固定して、タクシーを呼べばいい。困ったのは行き先で、選び方が分からない。乗ってから行き先を伝えてもいいのだが、それもまた面倒。実はこのとき明確に行き先を固めておらず、とにかくこの場所から移動して、お昼ご飯をフツーのお店でいただくことが大目標。そうすると行き先の表示におススメのポイントが出てきた。KLセントラル駅に戻るのは芸がなく、目についたのがKLCC、いわゆるペトロナスタワーのあるあの名所である。

そこまで決めてデータを流してタクシーを待つ。5-7分で到着とアプリに出るが、そうかんたんでもなく、10分程度はかかった。クルマの車種、ナンバー、ドライバーの名前・写真、5つ星の評価まで出てくる。向かってくるクルマの位置情報も出てくるので待たされてもこっちは全く焦らない。料金も表示されるから、全くの安心・明朗会計である。

 

ほどなくクルマは到着し、一路北上してから東へと大回りでKLCCへ向かったが、料金と経路は関係ないらしい。ちなみにドライバーは寡黙なマレー人だった。このときの表示料金は9MYRで250円ほど。私はこれが経路によって変わるのかと思ったが、それは当初の値決めで走った。ちなみにKL到着時に乗ったブルータクシーは快適だったが、同じような距離で23MYR。その半分以下ということで、こりゃなんだ、なんてスグレモノなのだ、と。

 

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私は喜んで★5つを進呈した。この後、さらにGRABは3回乗ったが、なんら怪しげなことはなく、初KLの強い味方となったのである。

 

このあとKLCCからブキビンタンの外れのホテルに戻ろうとして、タクシー溜まりに行き、案内人らしきオッサンに行き先を告げたら、なんと30MYRと言われた。この頃になると感覚ができてきて、私の値踏みでは10MYRがいいところ。30MYRでも800円程度なので、別に構わない。しかしもうそのレートでは乗れなくなるのが人間の心理の怖いところ。

このとき、こういうタクシー溜まりにGRABのクルマを呼んでいいものかまだ自信がなく、やむを得ず交渉ベースになったのだが、後から考えればGRABをコールでよかったのである。慣れていないとそんなもの。

このてん末はどうなったかというと、そんなんならと気に食わないで歩き出してしばらくして、全く方向が違うことに気付いた。暑い、同じところに戻りたくない、流しのタクシーはない。やむを得ず昼休み中ぽい駐車中のタクシーを捕まえて、交渉開始。私の相場観が10のところ15MYRでOKしたので、それでホテルに戻った。なお、このタクシーは、ドライバーが自分の部屋風にチャラチャラ室内をアレンジしていて何語か分からん歌が流れて、しまいにホテルの前をシレっと通り過ぎてもう1周しやがった。私は15MYRで握ったのでそれ以上払わなかったが、同乗者にはかなりケンカ腰に映ったらしく、もう値段交渉してタクシーに乗るのはゼッタイやめてよ、と強くお願いされたのである。アンタがしんどそうだから頑張って捕まえたのに。

 

10年ぶりのアジア その3

クアラルンプールの街はふつうにアジアの匂いがする。突き詰めていくとドリアンの匂いに近い。今回の旅行ではドリアンフレーバーのシュークリームがあったので、それくらい問題ないと思って食べたら美味しかった。実は生ドリアンを食べたことがない。今回の同行者が、昔ドリアンでつらい思いをしたらしく、気を遣ってそれくらいで止めた。

 

旅行2日目は、まずマレーシア国立博物館へ行くことにする。場所はKLセントラル駅の向こう側で、歩いて行ける距離。まずKLセントラルへモノレールで向かう。

 

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モノレールは楽しいが遅い、かつ2両編成で混んでいる。乗り降りの錯綜するブキビンタンから2人で5MYR。まあ十分に安い。しかしこのルートは素人の選択で、別の行き方が正解と後に分かる。

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KLセントラル駅から、この日は日曜日、人気の少ないオフィスビルの中を博物館方向に向かうと、地下鉄の駅に突き当たる。この構内を抜けると博物館だが、はて、う回路が見つからない。駅員に聞くと、なんと初乗り料金を払って駅を通り抜けろという。2人で1.6MYR。45円くらい? ここでガタガタ言ってもムダ。駅を抜けて博物館へ向かう。

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この博物館は一人5MYRと格安で、とにかく短い時間でざっと理解できる優れもの。しかし深くは掘り下げ切れていない。なぜにイスラム化したのか、インドネシア、フィリピンとの関係などはよく分かる。

私がKLを訪ねた理由を生み出した日本統治時代は、さらりと触れられているだけ。とうぜんながらマレーシアにとって幸せな歴史ではない。マレー人、インド人、中華系の人々を分断した、という記述もある。

この日は日曜日で日本語あるいは英語のガイドツアーがなかった。あまり詳しくない歴史のハナシはガイドツアーに入るのが一番。次回KLに来たらまたこよう。

 

次の目標は、歴史的名建造物で「美の巨人たち」でも取り上げられた旧クアラルンプール駅。KLセントラル駅はその南側にできた新ターミナル駅で、旧駅はいまでも本家の「クアラルンプール駅」。全列車停車する。

国立博物館からは至近ながら、道が分からず(暑い中歩くのもイヤ)、すこし遠回りして旧駅到着。もしここに行きたいなら、迷わずKLセントラル駅から列車で1駅だけ乗ればいい。ただしKLトランジットという上野新宿ラインみたいな列車しか停車しないので、時間をよく見ないといけない。京浜東北線にあたるIRTという電車はこの駅を通らない。東京の尾久駅みたいなものである。

 

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この写真はよくない。別のサイトでこの駅の美しさを確認してほしい。

私の祖父は、当時シンガポールからの列車に長時間揺られてこのクアラルンプール駅に降り立った。昭和18年のこと。75年経ってやっとこの場に孫がきたことを多少は喜んでくれただろうか。

ここでお昼時になった。もうさんざん歩いたのでエアコンの効いたタクシーでショッピングモールへ行きたい、行かないと同行者に叱られる。けど列車はそう都合よく走っていない。駅前には商店街もレストランもない。そうだ、タクシーアプリの出番だ! 次回、その顛末を。

 

 

10年ぶりのアジア その2

KLには夕方、定刻の到着。行ったことのない街には明るいうちに入りたい。郊外の空港からさっさと市内行きの電車を目指す。KLエクスプレスという列車はほぼ満席でKLセントラル駅へ向かう。この切符が片道50リンギット(以下MYR)と高い。28円換算で1,400円だから、日本並み価格となっている。安く買うにはマスターカードで払うと1割引き、VISAデビットのpayWaveなら15%引き。これはしょっちゅう変わる可能性がある。

ちなみにKLIAと称されるこの国際空港はデカい。国際線ターミナルはアイランドになっていて、メーンターミナルとはトラムで繋がっている。KLエクスプレスにはターミナルビルの1階に降りてホームを探すが、方向感覚がなくて次のKLIA2行きの列車に乗ってしまった。すぐ折り返すので問題ないが、要注意かも。

 

KLセントラル駅に30分と少しで着いたが、まだ明るい。ホテルはブキビンタン近く、モノレールならラジャチュラン駅が至近。けどモノレール駅との乗り換えは距離があり、モノレールは混雑する。いきなりタクシーを使うが、駅の改札外に案内所があり、その先に何台か待機しているのが見える。一番前に、比較的信頼度が高いブルータクシーのワゴン車を発見したのでダッシュ! これに乗り込んで行き先を伝えてホッと一息。混雑する土曜日の夕暮れ時をホテルへ向かう。首都高みたいな道は通るが、有料道路ではない。メーター制で21.2MYR。荷物2個分を上乗せして23MYRでホテルのフロントへ。無事チェックイン。この23MYR=約650円が一つのモノサシとなる。

 

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なんだか広々したいい部屋。ここから屋台街で知られたアロー通りまで7分程度。とりあえずジャランジャランする。食事はここはパスして、アメリカ風のステーキハウスでサラダとフィシュ&チップス、小さいステーキ、ビール2杯。しめて130MYR、4千円もしない。極楽だなあ、KLの最初の夜。奥さんも特に不満なし。日本の蒸し暑さもないし、アジアの繁華街のいかがわしさもナシ。

 

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翌朝、通りを一つ横に入るとこんなムード。近くにファミマが2軒、朝ご飯を食べさせる場所は数知れずある。今回はホテルの朝食がついているので、そこで2人で済ませて、さてまずはどこへ向かおうか。

 

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10年ぶりのアジア その1

夏休みにマレーシアのクアラルンプール(以下KL)に出かけた。KL旅行は初めて。私の海外経験は米国に偏っていて、アジアは30年以上前にシンガポールと台湾。10年ほど前に香港へ、ごく短い観光旅行に出て行っただけ。いい加減、世の中の動きについて行かないと、と思ってKL3泊の旅へ出た。ちなみに配偶者同伴。

 

KLに決めていたのには訳があり、祖父が戦時中に軍属としてKLで通信機器関連の工場に技術指導のため滞在していた。そのときの資料がいま私の手元にあって、当時の生活ぶりがこと細かに記されている。いまのKLでその痕跡を忍ぶことができるのか、その供養の意味合いも込めての渡航。やっと戦後73年経って、自分が還暦を迎える年になっての「マラヤ」訪問。

 

もうひとつの旅の目的はアジアの成長、あるいは生活革新の実態を自分の眼で知ること。もっと簡単にいえばスマホ社会、キャッシュレス社会の最先端を見てみたい。日本は一時代前のインフラで成熟してしまった社会、それを一気にITC化で飛び越えたマレーシアを見てみたかった。

 

で、還暦辺りの夫婦アジア旅行。どんな旅にするのかいいのか、まず粗々のスペックはこんなもの。

エアライン:まずは日系優先で今回は成田発着のJL便。羽田のNHは席の配置に難。

ホテル:今回は航空券とホテルだけJALのサイトで予約。迷いに迷ってブキビンタンのパークロイヤルスイーツを選択。これは大正解だった。

現金の手配:ネット販売の「ドルユーロ」で調達。6月に買ったが1MYR=28円台と立派なレート。ちなみに今回のクレジット、デビットの換算レートは27.5円くらい。

現地の通信手段:グローバルWiFiを利用。2人で同一行程だからこれでOK。成田空港での受け取りには行列ができていた。フリーSIM利用は次回の課題。

今回オプションツアーは一切なし。KLから日帰りで足を延ばせるところがあればと思っていたが、結局はバトゥ洞窟に行っただけ。

 

JL便だと行きは昼行、帰りが夜行。ウチは横浜で成田行きはめんどう、しかし今回は子供がクルマを出してくれていままでで一番らくちんな成田への移動でした。では成田空港を眼下に行ってきます! 次回からはKLリポート。

 

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経済政策の変更こそためらうことなく

7月17日の、3連休明けのマーケットで円安=株高の動きが見られたとき、違和感がこみあげてきて前回の記事を書いた。今日も円高方向の動きが一服、日銀が政策維持のメッセージを出したことから、安心感が先行するのだろう。

 

金融政策は、いまのゼロ(マイナス)金利政策がもたらす副作用への対応が焦点となっている。金融機関の経営体力は、現在の金融政策と、構造的な要因の両面から劣化が著しい。後者について言えば、もうリアルの銀行支店など置いている意味がない。

この1年で不動産関係の取引、金融取引をかなりの頻度で行ったが、銀行の施設に行ったのは借入関係の手続きで1回だけ(私はアラ還なので借入人ではありません)。ほとんどのやり取りはネットで完結する。不動産の売却も銀行の応接室を頼むことなく、容易に行える。

銀行の金融仲介機能を否定する気はなく、預金も借入も必要に応じて活用しているが、もう人も店舗も要らない。昔なら大きな金額の預金が滞留したらなんだかんだと世話を焼いてきたものだが、個人情報利用の縛りもあり、また金融マンのアニマルスピリットの弱体化もあり、迫力のあるセールスはいまは全く聞こえない。金融リテラシーが一般に向上しており、中途半端なプロは存在意義がない。

もうリテール金融機関のビジネスモデルは終わっているとみた方がいい。それでも全国的に安定した最低限の金融サービスの担い手は必要だから、そういう仕組みの組織に作り替えればいい。大事な点はソロリと変革することで、1つ2つ犠牲者(破たんする金融機関)が出たりすると、大きなパニックになるおそれがある。そのときに日本売りになって金利上昇と円安の同時進行になったら本当に困る。

 

金融政策を変更しても、特に上にも下にも影響を及ぼすことはないのではないか。副作用に対する言葉は、本来の作用、本作用というのだろうか、それがあまり効いていないように思える。累積的効果も理解するが、とにかく金利を下げることで前向きの投資におカネが回ると思えない。マネーもプロジェクトも足りているが、リターンを返す確信が持てない。

需要の拡大をもたらすものは何か。生活の利便性の追及はまだまだできるのだろうが、例えば時間の制約がキャップになっていないか。1日は24時間でしかなく、非正規労働が増えたがために、かつてよりも労働の約束事が多くなっていないか。かつては正社員の時間拘束は、むろん大残業でタダ働きもあったが、わりとゆったりしていた。いまは管理職は誰よりも早く出勤する、パートは決められた時間にピッタリ職場入りするなど裁量は効きにくい。

楽しみたいもの、便利なものがあっても時間が自由に使えない。ヘンにリジッドになっていて、形式的に時間に拘束されないと食べていけない。首都圏の通勤電車は混雑を緩和できず、まだ新線投資が計画されている。人口の首都圏集中も分かるし、外国人の増加もそうだが、なんだか20年前に思っていた世界と違う。

 

おカネのかからない政策変更として、時間の有効活用を検討すればどうか。例えば、標準時の2時間前倒し。より気温の低い時間を利用できるし、引け後の自由時間が長いのがいい。仕事も欧米と2時間近づくのでお互いに仕事がしやすい。日本の標準時が兵庫県というのは西にウエートが寄り過ぎではないか。日本の東海上、東経150度(得撫島を通るライン)なら1時間しか動かせないが、ロシアにクレームされてもそれくらいやっていいのでは。

あるいは、プレミアムフライデー改め、フリーマンデー。金曜日午後から夜は会社の時間の延長。そんなところで時間をもらっても仕方ない。月曜日午前を毎月何度か休めれば、家族、友人との日曜日が充実できて、午後から夜がもっと楽しめる。

ただでさえ日本は世界中で一番早く夜が明ける経済成熟国で、月曜日の仕事は材料に乏しい。日本人の日曜日夜はもっと使う値打ちがあるはずだ。世界を相手にする企業なら、火曜日スタートの土曜日半ドン終わりくらいの勤務スケジュールを検討してもいいのではないか。情報を消化するビジネスでは後手を取るのも大事な戦略。時間を使いこなして自分の味方につけるのと、やみくもに時間の奴隷になって動かされるのとでは、天と地ほどの違いがある。GWの祝日の並びなどで一喜一憂するのはムダ、ホントにどうだっていいこと。政府の都合で休みを決められていたら生活は楽しめないよ。

 

なぜにいま円安なのか

今日も225は100円上げ。猛暑の3連休明けで、7月いっぱいは高い気温が続く予報。夏が夏らしいとサマーラリーも続くのかもしれないが、なんとも不透明。

ドル円は112円台の半ばで、文句のないところ。これが日本株が堅調な一つの要因。かつてのように逃避先通貨としての円の役割は小さくなっている。いままでは何らかの均衡が崩れれば円高になっていたのに、もはやそうならない。東日本大震災原発が壊れてもとにかく円高、米国が転んでも中国が混乱しても円高、なんでも円に飛んできたマネーがもう来ない。

 

自国通貨安は怖い。円高は円安よりよっぽどマシである。とくに日本のような、海外にすぐそのまま売れるモノがない国は通貨安は困る。海外から買って加工して売るのが日本の産業構造で、円安はその仕組みを阻害する。観光だけは例外で、円安で旅行収支の黒字は稼げるかもしれないが。

 

円安が困るなら金利を上げたらいい。膨大な株式と国債保有する中央銀行を始め、金融セクターのバランスシートを直撃するが、超低金利でも金融機関の収益構造は破壊されつつあるので、特に金利上げがマイナス方向に働くことはない。ショックに備えろと緊急着陸(離陸?)態勢をとってアクションするのみである。

アベノミクスの唯一の功績だった円高是正が、いまや意味を変えて逆に作用しかかっている。日銀黒田総裁の政策変更に期待したい。

暴論と取られるかもしれないが、このままボーっと生きてるとチコちゃんに叱られる。私は十分な外貨ポジションが作れないまま、この状況に入ってきた。円安はホント怖い。国民生活が混乱する前に、金融政策を変更してドル円100円あたりのレベルを目指すべきだと思う。