税制改正の季節 その2

今年の税制改正はほとんど盛り上がりがなかった。来年、2019年10月に消費税率が引き上げられれば、いわゆる軽減税率の問題が出てくる。これがキャッシュレス化の促進と絡み合って、プレミアム付き商品券の問題に波及している。税の世界の場外乱闘である。

給与控除の切り下げ、公的年金控除と給与控除を関係づけて公的年金控除の絞り込み、配偶者控除の縮小を始め、取れるところから取るという仕掛けはガッチリできてきた。

年収1千万世帯が狙い撃ちされて、可処分所得が切り下がっているという分析が、日経ビジネスで紹介されている。明らかにやり過ぎで、そう遠くない将来にこの所得層の勤労意欲は崩壊する。しっかり勤め人として活躍してきて子育ても終えた人たちは、もうお役御免とばかりに切り捨てられた、というのが実態ではないだろうか。

 

政府税制調査会では、老後に備える資産形成にについて、企業年金個人年金に係る税制、貯蓄・投資等に係る税制について包括的な比較・分析を行っている。

公的年金だけでは老後の生活を支えられないという前提に立って、いかに個人の自助努力をサポートしていくか、という課題だが、やはり税収が欲しいというのがホンネ。超低金利と日銀のファイナンス国債マネジメントを行いながら、個人の投資の果実にも分け前を取りに行くという、ガメツイ政策課題を追求している。さすがである。

 

考えてみれば2019年は選挙イヤー、今頃大きな税制改正はあり得ないのである。統一地方選は4年ごと、参議院選挙は3年ごとで最小公倍数の12年ごとに選挙が忙しい年が必ず回ってくる。亥年は選挙年、だから戌年税制改正は盛り上がるシーンなどないのである。消費税率は来年10月に引き上げられる気がしてきた。