税制改正の季節 その1

またしても税制のシーズンがやってきた。1年前は大きな改正が決まって公的年金控除と給与所得控除のダブりが狙い撃ちされた。これまでは所得種類に応じた控除があり、その他の社会保険料控除や人的控除を差し引いて課税ベースが決まってくる。

 

勤め人なら給与収入、自営業者なら事業収入、大家さんなら不動産収入、そしてリタイアした人には雑収入(公的年金に係る)。公的年金控除を取る人は年金生活者であり、給与所得控除を取る人はサラリーマン。青色申告控除を取るのは自営業者・事業的規模の大家さんであり、それぞれのバランスを取って控除が決まっていた。自営業者は収入の捕捉に漏れが生じやすく、また必要経費も柔軟に自分で決められる。

事業収入には帳簿の正確性担保と引き換えに青色申告控除を認めるが、控除自体は貧弱。サラリーマンの給与収入はガラス張りであり、引き換えに大きな概算経費としての給与所得控除をもらっていた。

去年の税制改正はそこに切り込んで、給与所得控除の縮小に大きく踏み込んできた。今年の政府税調でもそのトーンは変わらず、所得種類ごとの控除体系から、個人ごとの控除に切り替えて、働き方の選択について(勤め人か、フリーランスかなど)中立にするという。

 

私は日本でいう中堅層だと思っている。子育ても終わったので家族単位の控除は縮小し、税負担を適切に行っている。しかし、60歳となり、年金受給を目の前にして、おカネの回りの悪さに辟易している。収入が減っても毎年のように税・社会保障負担が増えて、生活の閉塞感がハンパない。

そこで、給与所得、自営者としての所得、年金からの所得などに分散して稼げば、すべての控除を有効に活用できるのでとても効率的に稼げるのではないか、という結論を導いて、そのためのアクションを取ってきた。

今年はやっとの思いで不動産収入にメドを立て、半歩前進。来年からは年金の一部を受け取り始めるので、援軍は続々。やっと給与収入の一本被りから抜け出せる見込みがついた。

あとは個人ごとに違う条件で、最適な収入ポートフォリオを組み上げるだけ。必然的に今のフルタイムの勤めはそう遠くない将来に手仕舞って、もう少し軽い働き方に切り替えることになる。これは「働き方改革」であり「収入ポートフォリオ改革」なのである。あらゆる知識を使って税の極小化を図る。財務省に負けるわけには行かない。一生懸命に働くことから得られるより良い生活を、給与所得控除の見直しで遠ざけたのは財務省と、その意に従う一部の学者さんたちである。

 

この年明けには自分の不動産所得、家族の不動産処分に伴う申告、住宅取得に伴う申告を作成することになる。少しずつ、またこのタイトルで思うことを書き連ねたい。