株高予想が出揃って犬は笑うのか

お正月休みで勉強する時間があったのだが、まったくといっていいほど手につかず。会社を辞めたら時間はいっぱいあるので何でもできる、なんて発想はまったく当たっていないことがよく分かる。時間があっても私はたぶん何もしないだろう。仕事と好きなことのバランスの取り方は、いつまで経っても正解が得られない。

 

年初めのテレ東のモーサテをみてもなにをひねっても、今年は株高予想一色である。年内に平均株価3万円到達を掲げるアナリストもいる。年末の2万3千円近傍から30%の上昇はあるのか?

PERも海外マーケット比特に高いわけではない。企業業績も多くは安定的で1株当たり純利益が下げる懸念も小さい。為替はとても安定しているし、金融政策の変更もありそうにない、少なくとも引き締め方向への変更はないだろうと予想すれば、下値は堅そうだ。

 

ではいまから日本株を買いに出動するか? 買ってもいいと思う。けど買わなくてもいい。私は先進国株、新興国株、海外リートの投信を確定拠出年金に組み込んでいるが、日本株は平均株価2万3千円にタッチしたときに手仕舞った。こんど押したら拾うということで勘弁してもらおうと思っている。理由は特にないが、国内勢がみんなロングポジションを取ったら崩しにかかる勢力が出てくるかもしれない。みなが同じ方向を向くことがリスクの第一歩だと思っているから、こういうときには出て行きたくない。合理的な投資家の判断ではなく、単なるヘソ曲がりかもしれない。

ではそういう構造的に内包されるリスク以外に、なにか外的要因から崩れてくることはないのか。いくつか思いつくものを上げてみると、

  1. なんといっても朝鮮半島有事のリスク、米朝開戦
  2. 中東の火種の拡大
  3. 中国経済の減速、資産価格の下落
  4. 米国の政局混乱で米金利上昇シナリオの見直し
  5. ロシアが何らかのパラダイムシフトをもたらす

くらいしかない。米中ロの向いている方向は今までもバラバラだったし、それでも世界は回ってきた。私は地政学リスクが実現する可能性は小さいと思っている。もちろん、いつでも予期しない均衡崩壊からマーケットはクラッシュするので、これくらいなら大丈夫だろうとはとても言えない。分からないものは分からない。

ただし為替はもう日本経済を揺さぶる原動力にはならない気がしている。円高でも円安でもどちらでもこの程度なら問題なさそうだ。

 

大きくシナリオを崩す要因があるとすれば、それはやはり日本国内の隠された要因ではないか。金融機関のバランスシートは健全だろうが、収益力は小さい。長期金利の上昇が及ぼす影響も気になるが、金利リスクで破たんした金融機関を聞いたことがない。命取りになるのはつねにクレジットリスク、不良債権である。

それこそ問題ないかも知れないが、メーンバンクがかつてのような支援体制を組めない時代では、地域金融機関のクレジットリスクには、よくよく注意しなければならない。アラ探しをする気はないが、金融当局があれだけ再編に前向きなのには理由があるのだろう。小さな綻びが大きなクラックに繋がることもある。大企業の製品品質があれだけアテにならないのである。財務品質はホントに大丈夫なのか、警戒しておくに越したことはない。私のような小心者は、ことしもそういう姿勢で投資に臨んでいくことにする。