いよいよ有馬記念!楽しみ方いろいろ

今年締めくくりの有馬記念。そのあとにもホープフルSあり、東京大賞典ありで競馬ファンにとってフィナーレ感はずいぶん薄らいだが、季語としての重みはたいへんなもの。

 

有馬記念の良さは歌舞伎みたいなものだと思う。スバリ、キーワードは顔見せだ。

GⅠレースでこの距離、2,500Mを上回るのは菊花賞春の天皇賞だけ。中山の向正面でスタートして第4コーナーをまわり正面へ馬が現れ、そこで馬群は静々とスタンド前を通過する。ここではもう隊列は決まっているので、ジョッキーはひたすらなにもせず、馬の力を抜いて通過させるだけ。

 スタンドからはごひいきの馬にとうぜん声がかかる。これがいい。馬は静かに名乗り、ファンが声援を送る。最後の攻防の1周前に、まず夢を見させてくれる素晴らしいレースである。馬は歴戦のベテランばかり、若い馬が行きたがるのを抑えるのに必死の菊花賞とは全然様子が違う。

 

ことしはキタサンブラックがいい枠を引いた。ふつうにゲートを出たら、春の天皇賞で見せた緩みのないペースの逃げを打つはずだ。武ジョッキーはずっと先頭を譲らないだろうし、仮にゲートの出が悪くて2番手、3番手になっても、スパートは早めになるだろうから最後の4コーナーから直線入り口での先頭はお約束だろう。歓声を受けるに値する馬は今年のメンバーでは彼だけ。そのままゴールできるかどうか。

 

有馬記念黒歴史は枚挙にいとまがない。1991年ダイユウサクは言うまでもなく、私が競馬を始めたころの95年マヤノトップガン逃げ切り。単勝13倍は嬉しい配当だったが、いまで言えば3歳馬の逃げ勝ち、ほとんど反則勝ちみたいな言われ方だった。2005年ハーツクライ、当時フランス人のルメールがどん尻強襲の馬を先行させてディープインパクトの追撃を凌いだ。1番人気ダイワスカーレットが勝った08年は3連単がほとんど100万円。

今年の有馬はハーツクライ産駒が4頭も出走となっていて、似ても似つかないディープインパクト系ではあるがキタサンの包囲網はたしかに出来ている。ちなみにマンハッタンカフェ産駒も3頭でステイゴールドディープインパクトは1頭ずつ、この辺もいかにも有馬。

引退レースで次走の心配もなくキタサンに正確なラップを刻まれれば、たぶん追いつく馬はいないだろう。金曜夜の時点ではヒモ荒れしか期待できない、というのが私の見解。

 

ちなみに思い出してほしい。1年前の有馬はサトノノブレスが向こう正面でキタサンをつついて、最後にサトノダイヤモンドが差し切ってサトノ連携、フランス人連携が囁かれた。今年もサトノは2頭出し、ただし去年とは全く違った組み合わせ。騎手も違うし、あまり気にしても仕方がない。里見オーナーにも失礼。

 

「金」も一つのキーワードで、有馬ではゴールドシップオルフェーヴルゴールドアクターと金にちなんだ名前の馬の活躍も目立つ。レイデオロが出てくれば臭かった? しかしゴールドよりブラックの方がクラスが上、という見解もある。「金」より「北」、いや「黒」だろう。

3歳のスワーヴリチャードは皐月賞6着が不可解。けど中山コースがどうこうというより、なんかダメなときがあるのだろう。強い3歳世代がミルコを乗せて出てくるので穴人気は分かるが、もう好き嫌いの世界。年代で言えば4歳はシャケトラとレインボーラインの2頭だけで、いずれも中山コース向きが滲み出て4枠不気味。

牝馬は5歳組からなんと4頭も出走。繁殖に上がるまえに一発狙いかもしれないが、女王杯から有馬はローテとしては最適。ルージュバックのファンは、マリアライトの宝塚をイメージして期待しているかも。なにかやりそうなムードも感じる。

 

ホントに幸せな週末、阪神カップも大障害もある。楽しまないと!