行きは良い良い、帰りは恐い

一時所得について書いてきたので、企業年金確定拠出年金など、だいたいは有期年金か一時金で受け取るものを取り上げてきた。

今日はビックリ仰天の年金保険について取り上げたい。保険会社が提供している年金保険である。ほとんどの人は保険料控除を余計に受けられる「個人年金保険料税制適格特約」が付加された契約で、最大年間5万円の年金保険料控除を受けておられるはず。

その条件は、

①年金受取人が被保険者(その人の生死が契約の対象になっている人)と同一で、契約者本人か配偶者に限られること

②保険料払込期間が10年以上であること

③年金開始年齢が60歳以上、かつ、年金支払期間は10年以上

以上の3つが基本で、何か契約をいじろうとしたら保険のおネエさんが止めてくれるから心配ない。

 

私も予定利率が高いときに年金保険を契約した。25年前、毎月1万円強の積み立てをずっとやってきて、あと払い込みが1年半ほどというところへたどり着いた。この利率はなんと5.5%で、いわゆるお宝保険だ。最高の金融商品だった。

ところが60歳から10年間の支払期間が迫ってきた。この課税方式は雑所得で、受取金額から払った応当する保険料相当額を引いた分、つまり5.5%で回してきた金利の果実に対して、総合課税の限界税率でかかってくる。いまの私の状況で言えば、ぶっちゃけ所得税23%と地方税10%の33%がかかってくる。これが金利ならば20%(すべて復興税は除いて記述)の分離課税で済むのに、である。

 

大成功の金融商品の結末がこれか!! 保険証券を何度見ても「年金期間は60歳から10年」としか書いていない。私は65歳までは勤め人をやってもいいと思っているし、その間はそれなりに実入りが見込めるので、60歳から65歳までの、年金収入は控除でフルにカバーされる70万円内に抑えるつもりだった。しかし年金保険はその枠組みの外で所得がカウントされる。なんとかならないか? 

結論的にはなんとかなりそうだ。上の条件を見てほしい。年金開始は「60歳以上」、受け取り期間は「10年以上」なのである。保険会社は親切だから、早く受け取れるシナリオだけを書いてある。大手生保の担当のおネエさんに電話して「60歳ではなく、65歳から受け取りたい」と言ったら「そんなことはできない、聞いたことがない」と言いつつ契約管理部署に確認してくれた。答えはOKだった

 

保険会社は絶対にこのオプションは教えてくれない。当たり前のことで、そんな契約はいい迷惑だと思う。5年ずらすと年間70万円の年金がほぼ90万円になる。5.5%が5年なので1.055の5乗だからざっと1.3倍になるのだ。しかもその頃は現役サラリーマンの収入がないので税率も低い。

詰めていけば答えは出てくる。同じタイプの保険を持っている人はすぐに担当者に電話すべし。