税制と社会保険制度

税制改正の季節 その2

今年の税制改正はほとんど盛り上がりがなかった。来年、2019年10月に消費税率が引き上げられれば、いわゆる軽減税率の問題が出てくる。これがキャッシュレス化の促進と絡み合って、プレミアム付き商品券の問題に波及している。税の世界の場外乱闘である。 給…

税制改正の季節 その1

またしても税制のシーズンがやってきた。1年前は大きな改正が決まって公的年金控除と給与所得控除のダブりが狙い撃ちされた。これまでは所得種類に応じた控除があり、その他の社会保険料控除や人的控除を差し引いて課税ベースが決まってくる。 勤め人なら給…

健康保険組合の行方はどうなる? 制度自体が難解すぎる

年度末からこの時期は繁忙を極める。サラリーマンにはゴールデンウィークも良し悪しで、3月決算の会社なら6月の総会まで息がつけません。 企業の健康保険組合の解散が続いているとの報道がなされている。後期高齢者医療制度への仕送りが健保財政を圧迫してい…

年金の扶養控除申告書、ブン投げた業者の言い分は?

私は残念ながらまだ年金をもらえないが、2月の公的年金の支給ミスは笑ってしまう。扶養控除申告書の送付先が795万人、少なく間違えたのが10万4千人だそうである。 扶養控除申告書を送らないと源泉徴収のテーブルの当てはめができない。給与所得者とおなじこ…

e-Taxに挑戦したことがありますか? 確定申告その7

マーケットが不安定で円高が進行。この円高の評価、というか政府・日銀の沈黙についてはいずれさまざま議論が出てくるだろう。政策としての一貫性には欠ける。ただし一市民としては受け入れて必要な対策をとるだけ。 確定申告が始まったばかりだが、おかげさ…

e-Taxに挑戦したことがありますか? 確定申告その6

確定申告をe-Taxで送信してから10日(営業日ベース)経過。8日目にメールが届いて「還付金の処理状況を確認できます」とのこと。おっ、どこまで進んだのか。 以前はe-Tax内の「メッセージボックス」でコミュニケーションをしていたが、それとは別にいまは「…

e-Taxに挑戦したことがありますか? 確定申告その5

確定申告シーズンでは、自分のことと家族のことを同時並行的に進めないといけない。今回は子ども、と言ってももう立派な社会人だが、2018年にかれこれ4つも勤務先を渡り歩いたので、その始末をどうするかが自分の申告に響いてきた。 1.扶養家族と同一生計…

やっぱり来ました所得税改革 その10

12月8日に「その9」を書いて以来、久しぶりに所得税改革を取り上げたい。 本日2018年1月22日の日経「経済教室」に三木義一先生が「所得控除より税額控除を」とのタイトルで寄稿しておられる。薫陶を受けたこともないし、不勉強でどんな先生か良く存じあげな…

e-Taxに挑戦したことがありますか? 確定申告その4

おそるおそる進める確定申告。 本日18日、やっと前年2018年の源泉徴収票が到着して数字が出揃った。私の場合はこれで申告可能。国税庁のサイトへ行って申告書作成再開を選び、作成中のデータを呼び出す。 呼び出せない。なんで? 「29年所得申告データ.data…

e-Taxに挑戦したことがありますか? 確定申告その2

さあ1月4日、確定申告の号砲が鳴っていよいよシーズン開幕。本日リリースされた平成29年の確定申告書等作成コーナーをさっそく開けてみる。 作成開始から入ってみるとまず分かれ道、e-Taxか書面提出か。迷わずe-Taxへ入って行くと事前確認の画面に入る。 こ…

e-Taxに挑戦したことがありますか? 確定申告その1

今年は個人番号カードも作ったことだし、久しぶりにe-Taxに挑戦!と思ってやり始めたのは半年前。実は初めて挑戦したのは10年前のこと。当時は住基カードを使ってカードリーダーライターを買ってきてやってみたが、ホントにボロボロに使いにくかった。もう…

ボーナス出ましたか? 給料との違いはなんだろう

ボーナス支給の真っ只中である。私もおかげさまで少しだけおこぼれに与った。59歳にもなって決まった額のボーナスをもらうのは、こっぱずかしい気もする。けど助かる。 いまの会社のボーナスは決まったルールで支払われるので、いわば給料の夏冬払いみたいな…

ねんきん定期便の拡大版到着

12月生まれで、今週中に59歳の誕生日を迎えることになる。あれっ、ねんきん定期便がまだ届いていないわ。そういうときは、ネットで確認する。 確かめてみるとやっぱり更新されていた。59歳というのは節目年齢なので、詳細なバージョンを送ってくれる。ただし…

やっぱり来ました所得税改革 その9

もう何度も同じことで申し訳ありませんが、公明党が自民党案に乗り切れず、微調整が入って、増税ラインが850万円まで切り上げられる見通し。 抜本的なところの見直しにはならず、ホントの微調整に止まりそうだ。 特段、政策決定プロセスの問題でもなさそうで…

やっぱり来ました所得税改革 その8

とうとう決まってしまいましたね、所得税増税。後になって、あーあ、やっちゃったー、ってことにならなければいいのですが。 私は今月で59歳。増税の2020年には62歳に到達。この年代の人で、それなりに将来のこと、老後のことを考えてきた人は、どんだけ働い…

森林環境税、なんだかよく分からないけど

私はサラリーマン時代には税のプロではありませんでした。経理部門でもなかったし、実務は全く知らない。社会保険と税に巻き込まれたのは、若い頃に出向人事と、海外勤務に出て行って非居住者としての課税扱いになったため。そのときに、会社は対応を指示し…

やっぱり来ました所得税改革 その7

所得税改革については当ブログで疑問を呈してきた。政治的正統性がなく、税の基本原則からも逸脱している、と私には見える。 つまらない揚げ足取りかもしれないが、もう少し、いまの税調に民の生活を分かっている人を入れた方がいい。税の専門家でなくていい…

「選択制確定給付年金」までできていったいどこへ向かうのか

週末の日経新聞に、オリックスの提案する「選択制確定給付企業年金」が紹介されており、パート社員向け退職金制度の導入を検討する企業が増えているそうだ。 当然ながら、時給は上がる、103万円のカベはなくならない、勤務時間は増やせない、人は採用できな…

配偶者控除も後払いになって、酷いことになっている

年末が近づいて、今度は平成30年の扶養控除等申告書の記入・提出が回ってくる。源泉徴収義務者はこれを取っておかないと困ったことになる。 国税調査では往々にして請負契約を否認されて雇用とみなされ、源泉徴収義務者がたいへんな修正申告を余儀なくされる…

やっぱり来ました所得税改革 その6

17日の日経の1面で数字まで入った給与所得控除、基礎控除の素案が出てきた。 基礎控除が50万円程度となっており、12万円アップ。ならば給与所得控除の最低額の下げが同額として、65万円マイナス12万円で53万円程度か。合わせて103万円は維持するのかな。 給…

やっぱり来ました所得税改革 その5

納得できないことが多くて、もう少し書きたい。 「公平・中立・簡素」が税の三原則だとは、財務省のいつものフレーズだ。一方で「社会・経済の構造変化に適した税制」が必要だとも仰る。ならば、所得の捕捉率に問題がある前提で間接税主体の体系を目指すとい…

やっぱり来ました所得税改革 その4

所得税改革のアドバルーンが上がっている。与党税調の動きも出てきた。給与所得控除を引き下げる一方で基礎控除を引き上げるというのがメーンシナリオで、ここまでは去年も議論になったところ。「雇用的自営」の人に配慮する、というのが一種の甘味料になっ…

やっぱり来ました所得税改革 その3

6日付の「やっぱり来ました所得税改革その2」で、安倍さんが経済財政諮問会議で出した3千億円企業負担のことを書いたが、改めてそのココロを確認してみたら「子ども・子育て拠出金」として企業(事業主)負担としているものの料率を引き上げるということ。進…

やっぱり来ました所得税改革 その2

今日発売の週刊ポストに「騙し討ち大増税」と題して、10月選挙直後の税制調査会で財務省が配布した資料を取り上げている。 財政再建が至上命題の財務省は、こういう増税姿勢になる。つまりは消費税収はもっと欲しい、団塊世代は恵まれた時代にキャリアメイク…

年末調整をどうさばくか

年末調整のシーズンだ。配偶者特別控除と保険料控除を書く。昔は翌年の扶養控除申告書を一緒に書いていたが、私の勤める会社では別になった。 年末調整は税理士法違反だと若い頃の上司がよく言っていた。ほとんどのサラリーマンは年調だけでその年の税務関係…

やっぱり来ました所得税改革

昨日、10月23日の税制調査会(政府税調)で財務省が配布した所得税の説明資料は60ページにも及ぶ。 そこでなにを伝えたいのか? ひとことで言えば、お父さんが一家の柱で、そのお父さんを定年まで安定的、ある意味で家族的に雇用してきた企業を、産業政策的…

行きは良い良い、帰りは恐い

一時所得について書いてきたので、企業年金や確定拠出年金など、だいたいは有期年金か一時金で受け取るものを取り上げてきた。 今日はビックリ仰天の年金保険について取り上げたい。保険会社が提供している年金保険である。ほとんどの人は保険料控除を余計に…

一時所得の使いみちは意外なところに その4

「年金」と名がついても終身支給でないものは、単なる税制優遇のある貯蓄だと理解しておいた方がいい。私は「年金風」貯蓄と呼んでいる。 昔は(いまでもあるが)財形年金という制度があり、いわば厚労省管掌の貯蓄優遇税制である。金利の自由化後でも固定金…

一時所得の使いみちは意外なところに その3

台風接近でも選挙には行かねばならない。いろんな意味でこの総選挙は出来損ないの選挙。タイミングをみて早急にやり直してほしい。国民が選択する基準が示されていないし、受けて立っておいて途中でやめてしまった小池さんの責任も重い。ダメな枠組みの選挙…

一時所得の使いみちは意外なところに その2

一時所得について税理士さんのお書きになっているサイトを見てみたら、「継続性のない、趣味的・娯楽的な所得」といった書きぶりが目立つ。馬券やクイズの懸賞金みたいなものを想定しているのかもしれないが、そんなのはレアケース。 保険の一時金、満期返戻…